肺高血圧症とは

肺高血圧症ってなに?
肺高血圧症ってどんな病気なの?という疑問にお答えします。

肺高血圧症ってどこの病気なの?

肺高血圧症は、心臓から肺へ向かう血管である肺動脈の血圧(肺動脈圧)が高くなる病気です。
肺高血圧症になると肺への血液循環が低下し、肺から血液に取り込まれる酸素の量が減ります。そのため、軽い動作で息切れや呼吸困難といった症状が現れます。

肺への血液循環が低下すると、肺に血液を送り出す右心室がより多くの仕事をしなければならなくなるため、右心室の筋肉が肥大して形も大きくなります。
しかし、からだ全体に血液を送る左心室に比べると、右心室はあまり高い圧力に耐えられないために、右心室に負担がかかり続けると次第に負荷に耐えられない状態(右心不全)になります。右心不全になると肺へ十分な血液を送りこめなくなるため、軽く動いただけで一時的に意識を失ったり、呼吸困難を起こすなど、症状が重篤になります。
肺高血圧症の治療の目的のひとつは、肺動脈圧を下げ、右心への負荷を軽減し、右心不全状態を引き起こさないようにすることです。

肺動脈の異常とは?

どうして肺動脈圧が高くなるのでしょうか?
肺動脈に起こる異常として主に3つが考えられています。
要因はそれぞれですが、いずれも血管が狭くなることで肺動脈圧が上昇していきます。

1

肺血管の収縮

私たちの体の中には、血管を拡張させる因子と収縮させる因子があります。肺高血圧症の患者さんの体の中では、血管を拡張する因子が少なくなっており、逆に血管を収縮させる因子が増えていると言われています。
2

肺血管の再構築
(リモデリング)

血管の内部を構成する様々な細胞が異常に増え、血管の内側がどんどん厚くなっていきます。
3

肺血管内での血栓
(血のかたまり)の形成

血管が傷ついた時に、出血を防ぐために作られる血のかたまりを血栓と言います。肺高血圧症では、肺動脈の広い範囲で血栓ができやすくなります。

肺高血圧症の分類

肺高血圧症は原因が様々であり、その原因ごとに大きく第1~5群の5つに分類されています。

【第1群:肺動脈性肺高血圧症(PAH)】
第1群の「肺動脈性肺高血圧症」は、英語ではPulmonary(肺) Arterial(動脈性) Hypertension(高血圧症)と言い、PAH(ピーエーエイチ)と略されます。肺動脈性肺高血圧症は肺動脈そのものに病変が起こる病気です。
現在、肺高血圧症の治療薬として認可されている薬剤の多くは、この第1群:肺動脈性肺高血圧症を対象としています。
厚生労働省の定める特定疾患(難病)に指定されています。
  • ・肺動脈性肺高血圧症はどんな病気が原因となるの?
    肺動脈の病的変化の原因として、遺伝性のもの、薬物や毒物によって引き起こされるもの、HIV感染症・膠原病・先天性心疾患などの病気に合併して起きるものなどがあります。原因不明の特発性と呼ばれるものも含まれます。
  • ・肺動脈性肺高血圧症(PAH)の患者さんはどれくらいいるの?
    2016年度に特定疾患医療受給者証を交付されている方は3,369人、2017年度では3,456人と報告されています。
    日本国内の肺動脈性肺高血圧症の患者数は増加傾向にあります。
【第2群:左心性心疾患による肺高血圧症】
肺動脈そのものに原因があるのではなく、左心のはたらきが悪くなることが原因です。
肺から血液を受け取り全身に血液を送り出すのが左心のはたらきです。この左心のはたらきが悪くなり、血液が流れにくくなって抵抗が増すと、結果的に肺動脈圧が高くなるため肺高血圧症を発症します。
【第3群:肺疾患および/または低酸素血症による肺高血圧症】
肺での酸素の取り込みが悪くなり、血液中の酸素が少なくなることが主な背景です。
肺での酸素の取り込みが不足すると肺の血管が収縮し肺動脈圧が高くなります。
原因となる呼吸器の病気には、たばこなどが原因で発症する慢性閉塞性肺疾患(COPD)や、膠原病でも合併する間質性肺疾患などがあります。
また、酸素が少ないところで長時間過ごすことにより肺高血圧症を発症する場合もあります。
【第4群:慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)】
下肢静脈などにできた血栓が遊離し、血流にのって心臓を通過し、肺動脈を閉塞する血栓症があります。この血栓が長期間(6ヶ月以上)肺動脈を詰まらせることで発症します。
詰まった血栓の影響で血流が悪くなり肺動脈にかかる圧が上昇する病気です。
厚生労働省の定める特定疾患(難病)に指定されています。
【その他(第1’/ 1”/ 5群)】
第1’群:肺静脈閉塞性疾患(PVOD)・肺毛細血管腫症(PCH)
「肺静脈閉塞性疾患(PVOD)・肺毛細血管腫症(PCH)」は、肺静脈や毛細血管が狭くなることにより肺高血圧症を生じます。肺動脈性肺高血圧症と共通点が多いため、第1’群に位置付けられていますが有効な治療薬が見出されていないため、根本的な治療法は肺移植となります。PVOD・PCHは、厚生労働省の定める特定疾患(難病)に指定されています。
・1″群:新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)
胎児は肺で呼吸をしていないため肺血管抵抗(肺への血液の流れにくさ)が高い状態ですが、出生後に低下します。しかし、新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)は、何らかの原因により出生後も肺血管抵抗が高いままとなる病態で、新生児の0.2%程度に起こり新生児死亡の原因の一つとされています。
・第5群:詳細不明な多因子のメカニズムに伴う肺高血圧症
第5群は原因が不明か、あるいは血液疾患や一部の全身性疾患、代謝性疾患など様々な要因に伴う肺高血圧症が含まれています。

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