ドクターズボイス 桑名正隆先生
肺動脈性肺高血圧症や慢性血栓塞栓性肺高血圧症などの患者さんへ、専門医からのメッセージを動画で紹介します。
日本医科大学付属病院 リウマチ膠原病内科 部長 桑名 正隆 先生
*先生のご所属は撮影時のものとなります。
膠原病と肺高血圧症について
- メッセージをテキストで紹介しています
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- Q.どのような膠原病が肺高血圧症になりやすいのでしょうか。
- A.膠原病には様々な病気が含まれますが、その中で肺高血圧症を合併しやすいのは、強皮症、全身性エリテマトーデス、混合性結合組織病です。
ただし、肺高血圧症を起こすのは一部の患者さんで、その割合は多くても10%程度です。
肺高血圧症の初期徴候を自覚症状からとらえるのは難しいので、定期的なスクリーニング検査をして早く見つける事が重要です。
特に心臓のエコーや肺機能検査、これらを定期的に行う事により、早期発見というものができるようになっています。
また患者さんにおかれましては、普段歩いている道路や、あるいは坂、階段、そういうところを歩く時に従来より息が切れる感じが強くなっていないかという意識を持つことは必要だと思います。
息苦しい感じがあれば速やかに主治医の先生にお話しください。
- Q.膠原病に伴う肺高血圧症では、どのような治療がおこなわれますか。
- A.膠原病の患者さんで見られる肺高血圧症には様々な種類があり、治療の方法もそれぞれ異なります。肺の血管が狭くなって起こる肺動脈性肺高血圧症では、肺血管を拡げるお薬が非常に良く効きます。
一方、全身性エリテマトーデスや混合性結合組織病では、炎症によって血管が狭くなりますので、ステロイドや免疫抑制薬が有効です。
間質性肺炎など肺の病気や心臓の病気で二次的に肺高血圧症を起こす場合があります。この場合には治療はあくまで肺や心臓の病気を良くする事になります。このように肺高血圧症と言っても非常に多彩な病因があるため個々の患者さんに合った治療が必要です。そのためにも経験豊富な専門医による治療が必要不可欠です。
- 専門医から患者さんへのメッセージ
- 膠原病自体の治療は近年、大きく進歩していますが、その中でも肺高血圧症に対する治療成績は劇的に改善しています。早期に発見して、専門施設で適切な治療を受ければ、多くの患者さんが肺高血圧症を発症する前と同じ生活ができるまで改善しています。
そのために大切な事は個々の患者さんが肺高血圧症に対する正しい知識を持つ事で、もし息切れが進むような事があれば、速やかに主治医の先生に相談をしてください。