ドクターズボイス

肺動脈性肺高血圧症や慢性血栓塞栓性肺高血圧症などの患者さんへ、専門医からのメッセージを動画で紹介します。

久留米大学医学部内科学講座 心臓・血管内科部門
主任教授 福本 義弘先生

先天性心疾患と肺高血圧症について

心臓の構造と機能に関する補足:
心臓の内部は4つの部屋と4つの弁で構成されています。上側にある2つの部屋は心房と呼ばれ、血液が入ってくる場所で、下側にある2つの部屋は心室と呼ばれ、血液を送り出す働きをしています。
左心室から送り出された血液は、大動脈を通って全身の毛細血管へ送られます。ここで細胞に酸素や栄養を与え、二酸化炭素や老廃物を受け取って、大静脈を通り右心房に戻ります。さらに血液は、右心室から肺動脈を通って肺へ送られます。肺で二酸化炭素をとり除き、十分な酸素を含んだ血液は、肺静脈を通って左心房へ送られます。そして、左心房から左心室へ入った血液は、再び全身へ送られます。

メッセージをテキストで紹介しています

今回は、先天性心疾患と肺高血圧症に関して説明いたします。

  • Q.先天性心疾患とはどういう病気なのでしょうか。
  • A.まず、先天性心疾患について説明いたします。
    先天性心疾患というのは、生まれつき心臓の構造に異常があるものを言います。
    心臓は正常では、右の心臓、左の心臓に分かれており、それぞれ心房、心室がありますので全部で4つの部屋があります。
    右の心房と左の心房のあいだに心房中隔と言う壁があります。この壁に生まれつき穴があいているのが、心房中隔欠損症。
    右の心室と左の心室に心室中隔と言う壁がありますが、生まれつきここに穴があいているのが、心室中隔欠損症と呼ばれています。
    先天性心疾患は、他にも複雑奇形がありますが、この心房中隔欠損症と心室中隔欠損症を合わせたものが大半になります。
    生活の制限は特にありませんが、子供の頃に重症な先天性心疾患と診断された方は、運動制限が行われていることがあります。
  • Q.先天性心疾患に伴う肺高血圧症では、どのような治療がおこなわれますか。
  • A.心房中隔欠損症と心室中隔欠損症の手術は、それぞれ穴があいているところをふさぐ手術が行われますので、開心術と言って心臓を止めて心臓を開けてその穴をふさぐ手術が行われます。心房中隔欠損症に関しましては、カテーテルを用いた閉鎖術も行われております。
    先天性心疾患に伴う、肺高血圧症の治療は、他の肺動脈性肺高血圧症の治療と同様、肺血管を拡張する薬が使われます。
    肺血管拡張薬を用いますと、この肺動脈が拡張し、肺動脈の圧が下がりますが、先天性心疾患がある場合には、左の心臓から、右の心臓にシャント(血液が本来通るべき血管と別のルートを流れる状態)を介して血液が流れていくため、この肺循環の血液量が増えてしまいます。したがって、肺血管拡張薬を用いて肺動脈圧を十分下げたのちに先天性心疾患の修復術を行うことが望ましいと言えます。ただし、アイゼンメンジャー化している状態というのもあり、それはこの肺動脈に高度な狭窄病変が生じており、その場合閉鎖術を行ってしまいますと、右の心臓に多大なる負荷が掛かり、右心不全を起こして重篤な状態になることが予想されます。
    従いまして、先天性心疾患に伴う肺高血圧症は、肺血管拡張薬を用いることは言うまでもありませんが、心臓修復術を行えるかどうかは個々の症例によって検討されるべき事項になります。
  • 専門医から患者さんへのメッセージ
  • 先天性心疾患に伴う肺高血圧症では右の心臓に負担がかかり、右心不全を引き起こしやすい状態になりますので、塩分には注意してください。塩分の過度な摂取は、肝臓の腫れ、足の腫れなどを起こしますので、こういった症状が現れましたら、すぐ主治医の先生にご相談ください。 最後のメッセージになりますが、近年肺高血圧症の薬や治療法はめざましい進歩を遂げております。5年前、10年前には治療法がなかった病気でも、新しい治療法が開発されている可能性がありますので、継続的に専門の先生の診察を受けて行ってください。

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